SERVICE  SCIENTIST’S  JOURNAL  

建前の壁

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​シナリオ

サービスのおまけ意識に起因する建前の壁。サービスと本業を別物扱いする企業すらあります。この壁を乗り越えるには、事業シナリオが必要です。

「サービス」のおまけ意識から抜け出す

 「サービス」という言葉は、「サービスしてよ」というように、主に「おまけ」や「無料」のような意味合いで使われてきました。また、事業者によっては、接客マナーやキャンペーンに限ったことだと認識していたり。

 しかし近年、あらゆる産業において、「サービス」は収益源となり、他社との差別化につながる競争優位そのものになりました。もはや「サービスはおまけ」ではなくなっているのです。

 それでもまだサービスの「おまけ意識」は根強く残っています。その名残で、いまだに「サービス」を本業と別物扱いしてしまう企業が少なくありません。この意識では、変革に取り組み始めることすら困難です。サービス改革だなんて、キレイゴトでしょと白けた負に気が漂うのも納得です。

 

 これが「建前の壁」です。

 進むべき道を示す事業シナリオを描く

 建前の壁を乗り越えるには、サービス改革の意義が実感できる事業シナリオが必要です。経営方針や事業戦略、経営計画などは作っていても、シナリオを描かずにサービス事業を運営している企業がほとんどです。これから先の変化の時代にこそ、事業の軸となるシナリオが欠かせません。

「顧客拡大」や「顧客満足」、「働き方改革」、「生産性向上」など、サービス経営課題は、事前期待の的に向けたサービス改革のシナリオですべて結び付きます。シナリオとして見える形に描いてみると、改革の意義や必要性に納得感が高まるのです。

 サービス事業の進化と退化のスパイラル

 たとえば、一般論ですがサービス事業のシナリオのベースとして、「事前期待の的」に向けたサービス改革で、事業にどのような変化を生み出すのかを描いてみます。

 

 真っ先に、顧客の事前期待に応えられる場面が増えます。すると、顧客からの理解や協力、応援を得られ、顧客との関係性が高まります。これにより、サービス事業者として実力を発揮でき、やりがいと働きやすさが増します。すると、現場主導でサービス向上がどんどん進み、大満足の顧客が増え、顧客ロイヤリティが醸成されて、リピートや紹介が増えていきます。盤石な顧客基盤が構築されることで収益が安定的に向上して、次の投資ができるようになります。こうして、サービス事業がさらに事前期待に応えられるように進化することで、事業の成長力や競争力を高める「正のスパイラル」が回っていくというわけです。

 対して、「負のスパイラル」は、顧客との関係が削がれ、現場が疲弊し、サービス向上は進まず、サービスへの評価の低下とともに顧客が減り、収益が悪化して、事業として退化していきます。

このスパイラルを、自分たちのサービス事業に当てはめて具体的に描いてみると、事業シナリオを議論するベースになります。

 

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