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事前期待

​マネジメント

顧客と永く良好な関係を築くために、事前期待を捉えて応えるだけでなく、それをマネジメントするという考え方があります。

 事前期待はすぐに膨らんでしまう

 事前期待を捉えてそれに応えましょう。そう言われると、キレイゴトだなと思いたくなってしまう方も多いのではないでしょうか。その原因は、事前期待に厄介な特徴があるからです。

 例えば、営業マンが顧客に「なんでもやります!」と大風呂敷を広げてしまう。すると顧客の事前期待が過剰に膨らみ、サービス提供をどんなに頑張っても、なかなか満足していただけない。こういう苦い経験をしている企業がたくさんあります。むやみに事前期待を膨らませるのは得策ではないのです。
 

 顧客との付き合いが長くなると、こんなこともあります。昔とても喜んでくれていたことが、いつしか「当たり前」になってしまった。良いサービスを提供するほどに、顧客の事前期待が膨らんできた証拠です。サービスレベルを維持しているだけでは、いつしか顧客の事前期待が大きくなって、「以前はよかったのに・・・」と言われてしまいます。サービスレベルを高め続けることは大切ですが、それだけでは膨らむ事前期待とイタチごっこです。

 そこで注目されているのが、事前期待のマネジメントです。

 高まりすぎた事前期待は妥当な水準に

 事前期待のマネジメントは、なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は日常の中に事例がたくさんあります。

 たとえば人気テーマパークでは、アトラクションの待ち時間を表示することで、待ちに対する事前期待を上手にマネジメントしています。「120分待ち」と、待ち時間が分かることで、待てる顧客は納得して並び、そんなに待てない顧客は他のアトラクションを選択できる。こうして待ちでのイライラを抑制しています。最近ではこれを応用して、外食店などでお昼時に待ち時間を表示するところが増えています。

 先ほどの営業の例ではどうでしょう。

 営業サイドとして、受注のために風呂敷を広げなければ、検討の土俵に乗れないという事情はよく分かります。そこで上手な営業は受注が見えてくると、一度広げた風呂敷を上手にたたんで、事前期待がむやみに膨らまないように工夫をしてから、受注するようにしています。

 このように事前期待のマネジメントは、日常業務の工夫の中にたくさん見つけられます。それを見つけてリスト化するだけでも、多くの気付きが得られるはずです。

 冷ますだけが事前期待のマネジメントではない

 事前期待のマネジメントは「高まりすぎた事前期待を妥当な水準に冷ます」が王道です。しかし実際は、事前期待のマネジメントには様々な方向があります。

 サービスの立ち上げの時期は「過小な事前期待を膨らませる」、一人勝ちを目指してあえて「事前期待をどんどん膨らませる」、期待されても応えられないことは寝た子は起こさないように「過小な事前期待をそっとしておく」など。

 いずれにしても、期待を捉えて応えるだけではなく、顧客と永く良好な関係を築くために、事前期待をマネジメントするという考え方があるのだと心得ておけると良いと思います。

 

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